こんにちは、キッチンベース(KitchenBASE)です。
飲食店を開業するには、いくつかの届け出や手続きが必要です。営業許可や、開業届のような全ての飲食店経営者が申請しなければならないものから、店舗の規模やジャンル別の許可の取得、従業員を雇う場合には保険への加入手続きをしなければなりません。
そして、それらのどの書類も提出先や申請期限、対象となる人がバラバラであるため、事前に自分の店舗に必要な書類を整理しておくことが大切です。また、設備費やランニングコストがかかる飲食店経営では、節税対策を行いできるだけ無駄な税金を抑えることが重要になります。
本記事では開業届をはじめ、必要書類の対象や申請場所について解説します。飲食店の法人化に必要な書類や、青色申告制度についてもご紹介しているので、節税を考えている方はぜひご参考ください。
開業届とは?
「開業届」とは、正式名称で「個人の事業主の開業・廃業等届出書」といいます。
個人事業主として飲食店を経営すると所得税が発生することから、開業届は国税に関する事務を行う税務署への提出が義務付けられています。
開業届の次に重要になる書類が「所得税の青色申告承認申請書」です。開業届と併せてこの書類を申請すると、毎年の確定申告で「青色申告制度」による節税対策を行うことができます。青色申告の承認申請は、法人のみならず個人事業主にとっても大切なので、忘れず申請を行うようにしましょう。
申請手続きの流れ
開業届の申請場所は、店舗の出店場所の管轄税務署になります。開業の1ヶ月以内にご提出ください。
申請用紙は全国各地の税務署で入手、もしくは国税庁のHPよりダウンロードできます。
■国税庁:「個人の開業・廃業等届出書(提出用・控用)」
届出に必要な持ち物は次の4つです
1 個人事業の開業届出・廃業届出
2 個人番号がわかるもの
個人番号の証明に「通知カード」もしくは「住民票の写し」を提出する場合は、本人確
認書類が必要。
運転免許証、パスポート、在留カード、公的医療保険の被保険者証、身体障害者手帳
などのうち一つを提出
3 印鑑
4 青色申告承認申請書
※顧問税理士や公認会計士がいる場合は、その方の署名の用意が必要です。
開業届提出後は金融機関からの融資、クレジットカードの申し込み、税理士との顧問契約、QR決済の導入など、控えの提出が必要な場面があるため、控えはファイリング・PDF化するなどして保管しておきましょう。
開業届の書き方
実際に開業届を作成する際のポイントをご紹介します。
- 納税地の税務署名、提出日
開業届を提出する所轄の税務署の名称を記入します。名称については、国税庁の公式サイトで確認できます。
■国税庁「国税局・税務署を調べる」 - 納税地、上記以外の住所地・事業所等
納税地とは、「住所地」のことを指します。実店舗を持つ飲食店の場合、「事業所等」にチェックをし、店舗の住所と電話番号を書きます。「居所地」は、海外に住所があるものの、活動場所は日本といったケースに選びます。 - 提出日
「開業日」から1ヵ月以内に設定してください。 - 氏名・生年月日
氏名横に捺印してください。 - 個人番号
マイナンバーを記入してください。提出時には、前述の通り個人番号が分かる書類とともに提出する必要があります。 - 屋号
店舗の名前を記載しましょう。 - 職業
「飲食業」など、客観的に分かる名前を記入します。 - 提出の区分
開業に丸をつけ、住所を記入し、事業所の「新設」にチェックをつけてください。 - 所得の種類
飲食店の場合は「事業所得」にあたります。 - 開業・廃業日
開業日は提出日から1ヶ月以内で、好きな日にちに設定することができます。営業開始日や、開業届を出した日でも構いません。 - 開業に伴う届出書の提出有無
開業した年に青色申告をしたい場合は、開業日から2ヵ月以内と決められているため「有」にチェックをし、開業届と併せて「青色申告承認申請書」を提出することをおすすめします。
※開業日から2ヵ月を過ぎて届け出をした場合は、翌年分の確定申告から適用されます。- 事業の概要
飲食店の概要を簡潔に説明してください。例えばクラウドキッチンに入居する場合は「デリバリーに特化したラーメン店」のように、どのようなジャンル・業態のお店か客観的に分かるように記入します。 - 給与等支払いの状況
従業員がいる場合に記入する項目です。専従者(家族従業員)使用人(アルバイトを含む従業員)の人数を記載します。給与の決め方は、月給・日給・時給のいずれかを記入します。源泉所得税は月88,000円未満の場合「無」を、超える場合は「有」にチェックします。給与を支払う場合は基本的に源泉徴収をするため、「有」になります。給与支払いを開始する年月日は、最初の給与支払日を記入してください。源泉所得税の納期の特例を支払い開始から受けたい場合、給与支払日の前月までに開業届や申請書の提出を行いましょう。 - 関与税理士
顧問税理士がいる場合、事前に署名を依頼しておきましょう。
飲食店の開業に必要な届け出一覧
開業届の書き方は、順を追うとそれほど難しくないと感じたのではないでしょうか。
店舗の開店前はなにかと慌ただしくなりますが、他の届け出も必要な提出書類と内容の把握と、期限・提出先を抑えれば大丈夫です。要点をおさえて、開業準備をスムーズに進めましょう。
詳しい要項や申請書のダウンロードページについては、概要欄の参照リンクからご確認ください。
書類名 | 期限 | 提出先 | 概要 |
個人事業の開廃業等届出書 | 開業後1ヶ月以内 | 管轄の税務署 | 一般的に開業届と言われる届出 ▶︎国税庁「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」 |
個人事業税の事業開始等申告書 | 開業後1ヶ月以内 | 都道府県地方税務庁 | 事業の開始、変更、事業所設立、廃業時に個人が知事に対して提出する申請書 (個人事業主には、地方税である個人事業税も課税されるため、都道府県税事務所への届出が必要)▶︎東京都主税局「個人事業税申し込み様式」 |
所得税の青色申告承認申請書 | ・青色申告の承認を受けようとする年の3月15日 ・開業年度の申請は開業後2ヶ月以内 (個人事業の場合) | 管轄の税務署 | ・青色申告を行うことについて、承認を受けるための申請書 ・「赤字繰越」「税務上の優遇措置」「減価償却費の計上」などのメリットがある ▶︎国税庁「所得税の青色申告承認申請手続」 |
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申告書 | 適用を受けるとき | 管轄の税務署 | 給与から天引きした源泉所得税の納付を年2回まとめて行うために提出する書類(原則は毎月支払い)
▶︎国税庁「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請」 |
青色事業専従者給与に関する届出書 | ・青色事業専従者給与額を必要経費に算入しようとする年の3月15日まで ・その年の1月16日以後に開業した人や新たに専従者がいることとなった人は、その開業の日や専従者がいることとなった日から2月以内 | 管轄の税務署 | 家族などの事業従事者に給与を支払う場合、給与を経費に算入するために必要な届出
▶︎国税庁「青色事業専従者給与に関する届出手続」 |
飲食店営業許可 | 管轄の保健所 | 店舗完成の10日前まで | 衛生上提出する書類。申請書、配置図・見取り図、食品衛生責任者の資格証明書、申請料が必要
▶︎東京都福祉保健局「営業開始後に必要な手続き」 ▶️参考記事:「飲食店の開業に必須な保健所の営業許可を取るためのポイント」 |
消防管理者選任届 |
管轄の消防署 | 営業開始まで | ・収容人数が30人を超える場合、提出が必要 ・防災・防火講習終了後に交付される修了証を提出▶︎東京消防庁「防火管理者選任届」 |
防火対象設備使用許可届 | 7日間以内 | ・建物やその一部を新たに改修する場合に必要な書類(内装業者が届ける場合もある) ▶︎東京消防庁「新築、用途変更、一時使用等届出」 | |
火を使用する設備などの設置届 | 設備設置前 | 消防署が必要な防火措置が講じてあるかを確認するための書類
▶︎東京消防庁「設備の設置・設備業届出」 |
■その他、営業内容によって必要な届け出
以下は、酒類を提供する場合やテイクアウトの販売で注意しておきたい書類です。
書類名 | 期限 | 提出先 | 概要 |
深夜酒類提供飲食店営業開始届出書 | 営業開始日10日前まで | 管轄の警察署 | ・深夜0時を超えて提供する場合に必要な届出
・居酒屋やバーなどお酒の提供を営業内容とする店舗が該当する。ファミレスやラーメン店など食事を主な営業内容とする場合は提出不要 ▶️警視庁「深夜酒類提供飲食店営業様式一覧」 |
風俗営業許可申請 | 営業開始日の2ヶ月前まで | 管轄の警察署 | ・クラブ、パブ、スナックなど顧客に接客を行う店舗で必要な申請書
・風俗営業を行う場合は、0時以降の酒類の提供が禁止とされているため、深夜酒類提供の届出は不要 ▶︎警視庁「風俗営業許可申請」 |
酒類小売業免許等の申請 | 酒類の販売業を行う前 | 管轄の税務署 | 酒類を持ち帰り用として販売する場合に必要な届出
▶︎国税庁「酒類の販売業免許の申請」 |
麺製造業許可申請 | 営業開始日の2週間前まで | 管轄の保健所 | 飲食店で自家製の乾麺・生麺を販売する場合に必要 |
食品の冷凍又は冷蔵業許可申請 | 営業開始日の2週間前まで | 管轄の保健所 | 冷凍食品の製造販売または魚介類を冷凍・冷蔵販売する場合に必要 |
菓子製造許可申請 | 営業開始日の15日前まで | 管轄の保健所 | 店頭などで、店舗で製造したお菓子を販売する場合に必要 |
■従業員を雇う場合に必要な届け出
個人事業での届出を提出した場合でも、従業員を雇う場合には加入しなければならない保険もあるので、チェックをしておきましょう。
給与支払事務所等の開設届出書 | 従業員を雇用してから1ヶ月以内 | 管轄の税務署 | ・従業員の雇用・給与を支払う場合に申告し、源泉所得税の納付書を送付してもらうための届け出
・個人営業の場合は不要 ▶︎国税庁「給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出」 |
労災保険加入手続き | 労働基準監督署 | 雇用した日の翌日から10日以内 | ・個人事業・法人ともに従業員の「1週間の所定労働時間が20時間以上」の場合、アルバイトであっても提出が必要
▶︎厚生労働省「労災保険について」 |
雇用保険の加入手続き | 公共職業安定所 | 雇用した日の翌日から10日以内 | ・個人事業・法人ともに従業員の「1週間の労働時間が20時間以上」かつ「31日以上継続して雇用する」場合に行う手続き ・原則学生アルバイトの場合は不要 ・申請には「雇用保険適用事業所設置届」、「雇用保険被保険者資格取得届」、「労働保険関係成立届の控え」などが必要▶︎厚生労働省「事業主が行う雇用保険の手続き」 |
社会保険加入手続き | 管轄の年金事務所 | 期限なし。開業後すぐ提出すること | ・法人であれば必ず加入する義務があるもの ・個人経営の場合には、飲食店は法定外業種のため加入は任意 |
法人で開業する場合に必要な届け出
上記でまとめた届け出の「個人事業主の改廃業等届出」以外は法人でも必要になる書類です。ここから法人の場合必要となる届け出について解説します。
1.法人設立届出書
法人設立を知らせための届出です。法人の場合は、以下の3箇所に同じ届出を提出する必要があります。
法人税のための届け出
・税務署 ・・・開業より2ヶ月以内に提出すること
地方税のための届け出
・都道府県税事務所
・市町村役場 ・・・ともに開業より1ヶ月以内に提出すること
■申請書類:国税庁「内国普通法人等の設立の届出」
2.所得税の青色申告承認申請書
飲食店を経営する場合、個人・法人ともに1年に1度会社の売上や経費を税務署へ確定申告しなければなりません。申告の方法には、比較的簡単に作成できることが特徴の「白色申告」と事前申請が必要な「青色申告」があります。
法人で青色申請を行うには次のメリットがあります。
- 最大65万円の特別控除を受けられる
単式簿記で記帳する場合は10万円の控除、複式簿記での記帳では65万円の控除を受けることができます。 - 税額控除を受けられる
設備投資額や増加人件費を法人税から減額することができます。 - 赤字を9年間繰越せる
個人での青色申告の場合は3年間の繰越期間が、法人の場合は9年繰越すことができます。翌年の黒字から今年の赤字を差し引くことができるため、翌年の所得税を抑えることができます。 - 減価償却をせず経費計上できる
10万円以上30万円未満の資産であれば、合計300万円まで一度に経費として計上できます。
青色申告で65万円の控除を受けるためには記帳が少々複雑になりますが、メリットの方が大きいためお法人設立届とともにぜひ提出しておくことをおすすめします。
■申請期限:
開業後3ヶ月以内または開業してからその年の年末までの第1期終了日
初年に提出する場合は、設立の日以後3月を経過した日と当該事業年度終了の日とのうちいずれか早い日の前日まで
※個人事業の場合と期限が異なることにご注意ください。
■申請先:所管の税務署
■申請書類:国税庁「所得税の青色申告承認申請手続」
まとめ
今回は飲食店の開業時に必要な届け出と、「税金面で損をしない」ための手続きをまとめました。中でも開業届や保健所への届け出はどのジャンルの飲食店でも提出しなければならない書類です。提出先や期限を誤らないように漏れなく記入・提出し、店舗の成功に向けて良いスタートダッシュを切りましょう!
こちらの記事もご覧ください。
▶︎「飲食店を開業するのに必要な資格は2つ 重要な届出も紹介」
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