本記事は、ゴーストレストランのメリットやデメリットを踏まえた上で開業方法を知りたい方に向けて書いていきます。従来の「出前」は、自社で注文を取り自社スタッフによって届けるスタイルが一般的でした。しかし現在ではデリバリー代行サービスが続々と出現し、キッチン施設で調理をしてデリバリーで提供するゴーストレストランが急速に広がっています。ユーロモニターの調査によると、今後テイクアウトの50%をゴーストレストランが代替するというデータも。今回は、飲食店業界の新しい光ともいえるゴーストレストランの仕組みから違法性、おすすめの運営会社まで徹底解説しました。
ゴーストレストランとは
ゴーストレストランとは、デリバリーに特化した飲食店および、デリバリーで提供される料理をするためのキッチン施設のことです。ゴーストレストランはアメリカ発祥で、現在韓国やインドなど世界中に広がっています。特に韓国は飲食業界の売上の1割をゴーストレストランが占めているといわれているんだとか。
ゴーストレストラン・ゴースト店舗・ゴーストデリバリーとは
結論からお話しすると「ゴーストレストラン・ゴースト店舗・ゴーストデリバリー」これらの言葉は「デリバリー専用の飲食店およびそのためのキッチン施設」という、ほとんど同じ意味で使われています。フードデリバリー産業がアメリカから日本に上陸し活発化し始めたのは2019年ごろであり、まだ言葉の定義が混在しているのが現状。ゴーストレストランやクラウドキッチンなどもほとんど同義として使われています。
ゴーストレストランとはデリバリー型の飲食店の経営形態のこと。広義として、デリバリー専用飲食店のためのキッチン施設を指すこともあります。ゴースト店舗とゴーストデリバリーもゴーストレストランとほとんど同義。あえて違いを挙げるなら、海外ではオンラインを通してデリバリーの食事を複数で楽しむことを「ゴーストレストラン」と呼ぶことがあります。
ゴーストレストランの仕組み
ゴーストレストランの仕組みは下記の通りです。
- ユーザーがアプリやWebで注文する
- 飲食店オーナーがゴーストレストランで調理をする
- 飲食店オーナーが用意した食事をデリバリー代行サービスがユーザーに届ける
Webやアプリから注文された商品を、クラウドキッチン・ゴーストキッチンと呼ばれるデリバリー専門のキッチンで調理し、デリバリー代行サービスによりお客さまの元に届ける、これが簡単な流れ。
飲食店オーナーはゴーストレストラン運営会社とデリバリー代行サービスに手数料を払う形になります。
ゴーストレストランの市場規模
外で食べる外食でも、自宅で手料理を食べる内食でもない「中食(家庭外で調理された食品を自宅や職場などで食べること)」の需要は増加の一途をたどっています。NPDジャパンの調査によるとデリバリーの市場規模は2019年から2021年にかけて191%まで増加。特に首都圏においてデリバリーは一般的になりつつあり、今後も広がりを見せることが予想されます。
ゴーストレストランのメリット
ゴーストレストランのメリットは下記3つです。
- 初期費用を抑えて開業できる
- 天候の影響を受けにくい
- 業態変更が比較的容易にできる
費用に関するメリットや経営に関するメリットなど、ゴーストレストランならではのポイントを解説します。
ゴーストレストランのメリット①初期費用を抑えて開業できる
ゴーストレストランを開業して、テナント料や人件費など月々の支払いは大丈夫だろうか…こんな悩みを持っている人も多いでしょう。ゴーストレストランの最大のメリットは、実店舗型の飲食店と比較して初期費用を抑えて開業でき、低コストで運営ができるところ。1〜2人で運営ができるため人件費をカットでき、広い面積を必要としないため賃料を抑えることができます。固定費を抑えながら営業ができるため、資金面でのハードルを下げられるでしょう。
ゴーストレストランのメリット②天候の影響を受けにくい
実店舗タイプの飲食店は、雨や雪の日、気温が急激に下がる日などは人手が遠のきがちです。一方ゴーストレストランの場合は食事のために外出する必要もありませんので、比較的天候の影響を受けることなく営業ができます。
ゴーストレストランのメリット③業態変更が比較的容易にできる
飲食店を開業する場合、数千万円をかけて一か八かで勝負する…これはもう過去の常識です。ゴーストレストランは実店舗の10分の1程度の資金で開業できますので、リスクを最小限にしてアイデアを試すことができます。実際に営業してみて改善の余地があると判断されれば、比較的容易に業態変更ができる点もゴーストレストランのメリット。万が一廃業してしまっても、経済的ダメージを少なくできるでしょう。
ゴーストレストランのデメリット
ゴーストレストランのデメリットは下記3つです。
- 集客が難しい
- お客さまの評価が見えづらい
- 価格設定の難易度が高い
集客や価格設定の難しさはゴーストレストラン開業で避けては通れない課題。注意点と共に詳細を確認していきましょう。
ゴーストレストランのデメリット①集客が難しい
実店舗であれば、店舗を目にしたお客さまが来店するといった集客方法が可能でしたが、ゴーストレストランの場合はそうもいきません。ゴーストレストランではWebサイトやSNSを使ってお店の認知度を高めたり商品に対する訴求を行ったりすることになりますが、Webマーケティングの知識がないとなかなか難しいこともあるでしょう。
ゴーストレストランを貸し出している運営会社の中には場所を貸し出すだけでなく飲食店の運営サポートを行っているケースもありますので、効率的に集客をしたい方はチェックしてみてください。
ゴーストレストランのデメリット②お客さまの評価が見えづらい
ゴーストレストランではお客さまの顔を見ながら接客をするわけではありません。主に得られる評価は、デリバリー代行サービスのアプリを介しての評価になります。そのため、商品に対するお客さまの反応が見えづらいというデメリットも。実店舗ではお客さまとの対話で解けるような誤解も、ゴーストレストランの場合は難しく、マイナスの評価を受けるとそれが永久的にネットに残ってしまうことになります。
ゴーストレストランのデメリット③価格設定の難易度が高い
ゴーストレストランの価格設定にはデリバリー代行サービスの手数料を含まなければならず、価格設定が難しいといえます。お店側としては妥当な価格だとしても、ユーザーからすると高額だと感じてしまう場合もあるでしょう。
ゴーストレストランの始め方
ゴーストレストランはどのような経緯で始められるパターンがあり、それぞれにどんなメリットがあるのでしょうか?ここでは、ゴーストレストランの始め方を解説します。
ゴーストレストランは自宅で開業できる?
自宅でゴーストレストランを開業すれば賃料を浮かせられるのでは?と思うかもしれません。確かに飲食店開業に必要な「営業許可申請」を通せば自宅でも開業はできますが、営業許可申請の審査に通るためのリフォームが必要になります。
飲食店の営業許可を得るためには、具体的に下記のような点を満たさなければいけません。
- 2槽式のシンクがある
- 店舗施設と住居スペースが壁や扉などで仕切られている
- 床から1mの高さまでタイル張りやコンクリートなどの素材の壁がある
この他にも満たさなければいけない条件が複数あるため、リフォーム費用を考えるとゴーストレストラン運営会社と経営した方がコストを抑えられる場合も多いです。
ゴーストレストランの開業パターン【個人/法人/フランチャイズ】
ゴーストレストランを開業するパターンは下記3つ。
- 個人で開業する
- 法人で開業する
- フランチャイズで開業する
個人で開業するメリットは開業費用がかからないこと、デメリットは社会的信用が低いため融資を受けにくいことです。法人で開業する場合は、社会的信用が高く融資も受けやすいですが、法務局での登記手続きが必要になります。
フランチャイズとして開業するパターンでは、フランチャイザーによるレシピや集客サポートが受けられる点がメリット。一方、売上の一部をロイヤロイヤリティとしてフランチャイザーに支払わなければいけないというデメリットがあります。
ゴーストレストランをフランチャイズで開業するメリットとデメリット
ゴーストレストランの開業方法には個人で開業する、法人として開業する、フランチャイズとして開業するという3つの方法がありますが、既存の飲食店に加盟してノウハウやメニューを踏襲できるフランチャイズという方法が気になっている方も多いでしょう。
フランチャイズは、FC加盟者・FC本部・店舗利用者にとってそれぞれ合理的なシステムです。
FC本部はこれまでの実績を元にFC加盟者にノウハウを提供、FC加盟者はFC本部にロイヤリティを支払う代わりに低コストで開業ができ、利用者は信頼性の高い店舗で「いつもの味」を安心して楽しめます。
ここではゴーストレストランをフランチャイズで開業するメリットとデメリットを解説します。
ゴーストレストランをフランチャイズで開業するメリット
- リピーターを獲得しやすい
- FC本部から集客サポートが受けられる
- FC本部のネームバリューで開店初期から注文が入る
- レシピ提供や仕入れルートのサポートが受けられる
フランチャイズでゴーストレストランを開業すれば、ゴーストレストランの「集客が難しい」というデメリットをカバーできます。
ゴーストレストランは実店舗を持たないため、実際に店舗の外観や看板を見て来客してもらうことができませんが、フランチャイズに加盟すればFC本部が集客活動を担ってくれるため、Webマーケティングの知識がない方でも広告活動をスムーズに行えるでしょう。
サポートが受けられるのは集客活動だけではありません。商品開発、レシピの提供、材料の仕入れルート、商品の撮影、経営戦略など基盤となるノウハウを提供してもらえるため、開業までの時間を大幅に削減できます。
ゴーストレストランをフランチャイズで開業するデメリット
- 加盟金・保証金・ロイヤリティが発生する
- FC本部のイメージが直接影響してしまう
- 離職後は同業種で起業できない可能性も
- オリジナリティを出すことができない
ゴーストレストランをフランチャイズで開業する際は、初期費用が高額になる可能性も忘れてはいけません。
加盟金とはFC加盟者がFC本部に支払う費用のことで、相場は数十万円〜100万円といわれていますが、中には加盟金が掛からないケースもあります。
ロイヤリティとは商標の使用や運営のノウハウやサポート、営業指導などのためにFC本部に毎月支払う対価のこと。一般的には売上の3~5%が相場ですが、場合によってはそれ以上になることもあります。
保証金は、ロイヤリティの支払いが滞った場合に充当するためFC本部に預ける一時金です。
また、フランチャイズに加盟するというのは、FC本部のプラスのイメージにもマイナスのイメージにも影響を受けてしまうということです。集客や運営ノウハウにおいて恩恵を受けられる一方で、万が一FC本部やFC他店で不祥事が起きてしまうと思わぬ打撃を受けてしまうことがあります。
ゴーストレストランのフランチャイズがおすすめな人
近年は実店舗だけでなくゴーストレストラン形態での飲食店経営に精通したFC本部も増えています。ここでは、特にどんな人がゴーストレストランのフランチャイズにおすすめなのか解説します。
なるべく失敗せずにゴーストレストランを開業したい人
集客における失敗を最小限にしたい方は、フランチャイズ加盟のメリットを感じやすいでしょう。一般的に飲食店の起業成功率は25〜30%であるのに対し、フランチャイズの場合は成功率が70%ほどまで上がります。
さまざまなフードビジネスに挑戦したい人
フランチャイズでゴーストレストランを開業すれば、集客やメニュー開発、オペレーションなどにおいてサポートを受けられます。その分余裕ができて新しいことに挑戦することも可能になるでしょう。
複数のフランチャイズに加盟すれば、幅広い層にリーチできるため売り上げアップを期待できます。同時に複数のフードビジネスを行うことは、一般的に実店舗の飲食店では実現できません。
オリジナリティを出すことにこだわりがない人
フランチャイズに加盟してゴーストレストランを開業するということは、FC本部のメニューをそのまま提供するということです。そのため、オリジナルのメニューにこだわりたい方よりも、オリジナリティよりも安定した商品を提供することに集中したい方のほうがフランチャイズに向いているでしょう。
ゴーストレストランにおけるフランチャイズブランドの選び方
商品とニーズは合っている?
ゴーストレストランの商圏地域とフランチャイズで扱う商品がマッチしているか確認しましょう。商品そのものの価値を見極めるだけでなく、必ずニーズと合致しているか確認してください。
また、FC本部のブランド力も大切です。同業の飲食店の中でも知名度はあるのか?実店舗で集客ができているのか?なども合わせてフランチャイズブランドを選びましょう。
信頼できるFC本部を選ぶ
フランチャイズとしてゴーストレストランを開業する場合は、信頼できるFC本部を選びましょう。
サポート体制が十分でない、FC本部の売上予測と実際の業績に開きがある、契約更新をFC本部から一方的に断られてしまったなど、FC本部とFC加盟者のトラブルは多いです。
フランチャイズ契約を結ぶ際は、FC本部が信頼に足るのか、FC本部の経営理念に従うことができるのか、確認してみましょう。
契約内容は念入りに確認する
フランチャイズ契約の解約を申し出た場合、違約金が発生する可能性があります。契約書を締結する際は、契約期間や更新料、違約金条項、中途解約の可否、解約金が発生する場合はその算出方法、競業避止義務の有無などを確認しましょう。
ゴーストレストランを始める3つのシミュレーション
ゴーストレストランは下記3つの経緯で開業されることが多いです。
- 全くの0からスタートする
- もともと実店舗を経営していてデリバリー事業を追加する
- ゴーストレストランの運営会社と契約してデリバリー事業を開業する
0からスタートする場合、物件取得から電気やガスを引くところまで全て自分で行わなければいけません。この段階の工数は実店舗開業と同じであり、数百万円〜1,000万円ほどの資金が必要になります。
最も手軽なのはゴーストレストランの運営会社と契約する方法でしょう。この場合は前家賃と保証金を合わせて40〜100万円程度で開業することができます。すでに必要な施設が揃っているため店舗準備の工数が大幅に軽減され、より気軽な開業が可能です。時間としては申し込みから1〜2ヶ月で開業できます。
ゴーストレストランが違法・規約違反となるケース
フードデリバリーサービスやクラウドキッチン・シェアキッチンの普及によってゴーストレストランは年々普及しています。結論からお話しすると、「⾷品衛⽣責任者」「飲食店営業許可」など必要な許認可を受けていれば、ゴーストレストランの開業自体に違法性はありません。しかし中には違法となってしまうケースも発生します。ここではゴーストレストランが違法となり得るケースを3つみていきましょう。
1つの飲食店が複数の専門店を出している
1つの飲食店がネット上で複数の専門店を出店している場合、違法となる可能性があります。デリバリー代行サービスの中には1つの営業許可証に対し1つのゴーストレストランしか運営できないと定めているものも。そのためリアルでは1店舗であるにもかかわらずデリバリーでは「〇〇専門店」「〇〇専門店」という形で営業していると規約違反になる可能性があります。
優良誤認を引き起こす表記がされている
優良誤認表示とは、ユーザーに商品が実際よりも著しく優れていると誤解されるような表示のことです。例えば商品の写真と実際に届いた商品に著しい差があれば、法令違反として、措置命令や課徴金納付命令の対象となる可能性があります。特に飲食業界では優良誤認に気をつけなければいけない表記が多数ありますので、意図していないにせよ万全の注意をしましょう。
専門店でないのに専門店のような宣伝をしている
例えばリアルでは居酒屋なのにゴーストレストランとしてはラーメンや鉄板焼きなど複数の専門店として営業している場合。確かに専門店をうたえば検索でもユーザーの目に留まりやすくなるでしょう。このような手法は一概に違法とは言えませんが、あまりに実態がかけ離れている場合、景表法に抵触する可能性も出てきます。
東京・大阪でおすすめのゴーストレストラン運営会社「KitchenBASE」
KitchenBASEは、国内最大のキッチン数を誇るゴーストレストランです。占有できるキッチンをレンタルし最短1ヶ月でゴーストレストランを開業できます。選べるプランは使用できる機材によって「フルプラン」「ハーフプラン」「スケルトンプラン」の3つ。
デリバリーに最適化したキッチン施設の提供だけでなく経営サポートまで付いているのがKitchenBASEの魅力。オープンまでの開業サポートから定期ミーティングまで、「始める」だけでなく「続ける」サポートまでしっかり行います。
まとめ
ゴーストレストランとは、アプリやWebサイトからの注文に特化したデリバリー専門の飲食店およびそのためのキッチン施設のことです。デリバリー代行サービスの発展により、ゴーストレストランは低コストで飲食店事業を始めたい方の追い風的存在となりました。手の届く資金でリスクを最小限に留めた飲食店企業ができる点は、非常に大きなメリットだといえるでしょう。
ゴーストレストラン開業にご興味のある方は、ぜひKitchenBASEにご相談ください。HPより空き情報の確認や物件見学などもお問い合わせいただけます。