December 20, 2023

飲食店のキッチン間借り(レンタルキッチン)とは?メリット・デメリットから相場、知っておきたい法律まで

飲食店開業には1年という時間、1000万円という資金をかけなければいけない…というのは一昔前の常識かもしれません。近年、キッチンを間借りして低リスク・低資金で開業ができる「間借り飲食店」が注目を集めています。間借り飲食店とは、貸主の飲食店や定休日など空いている時間帯を活用して飲食店を営業する形態のことです。レンタルキッチンというコンパクトさから小規模な飲食店運営やデリバリー専門店の運営に向いています。本記事では、そんな飲食店のキッチン間借りについてメリットやデメリット、料金相場についてまとめました。

飲食店のキッチン間借り(レンタルキッチン)とは?

「間借り」という言葉は飲食店業界に限らず広く使われる言葉で、代金を支払って家の一室を借りるという意味です。飲食店の間借りとは、実店舗飲食店の営業時間外にキッチンを借り飲食店を営業する形態を指します。例えばダイニング付きの飲食店を間借りして夜間バーを開くこともできますし、キッチン施設だけを借りてデリバリー専門店を開くことも可能です。2020年ごろからデリバリーが盛んになった動きを受けてキッチン間借りは近年、飲食店の出店スタイルとして広がりを見せています。(ちなみに店舗を貸し出す事業主のことを「間貸し」といいますので、覚えておきましょう)

キッチン間借りが利用できる期間は?

キッチンの間借りは1日〜月単位で利用できます。中には数時間〜利用できるレンタルキッチンもあり、メニュー開発やテストマーケティングとして利用可能です。

キッチン間借りとレンタルキッチンの違い

キッチン間借りとは家賃を払ってキッチンを借りることで、飲食店の経営を前提としている場合がほとんどです。レンタルキッチンも料金を払ってキッチンを借りることには変わりまりませんが、料理教室や料理動画の撮影など幅広い用途を前提としています。とはいえキッチン間借りとレンタルキッチンは同義として使用されることも多いです。

キッチン間借りとシェアキッチンの違い

キッチンの間借りは、1つのキッチンを2つ以上の飲食店が時間帯を分けて共有することです。一方シェアキッチンとは1つの施設に複数のキッチンがあり、同時に調理をし、デリバリーやテイクアウト専門店として営業することです。シェアキッチンもキッチン施設を借りるという意味では「レンタルキッチン」と呼べるでしょう。

キッチン間借りとゴーストレストランの違い

キッチンの間借りは、デリバリー専門飲食店としても、客席を設けた飲食店としても成り立ちます。一方ゴーストレストランはデリバリーを専門にしたキッチン施設およびそのような飲食形態のことです。

飲食店のキッチン間借り(レンタルキッチン)のメリット5つ

キッチンを間借りして飲食店を開業するメリットは下記5つです。主に費用面と業態変更の点で利点を享受できます。

  1. 開業費用が抑えられる
  2. 集客方法の幅が広がる
  3. 貸主のシェフと交流が持てる
  4. いつでも場所を変更したり業態変更したりできる
  5. 柔軟な飲食店開業が実現する

1.レンタルキッチンなので開業費用が抑えられる

キッチンを間借りして飲食店を開業する方法は、飲食店を開業したいけれど資金が集まらないという方に最適。間借り形式のレンタルキッチンであれば物件を取得する必要もありませんし、必要なスペースだけを借りられるため開業費用が抑えられるからです。

例えばスケルトン物件(建物の躯体だけの状態)から飲食店を始めるとなるとテナントの契約金といった物件取得費だけでなく、内装工事・設備投入など相場として1000万円程度の資金が必要になります。

一方レンタルキッチンであれば物件取得費用を抑えられるだけでなく内装工事費用も抑えられるでしょう。また開業後も光熱費や固定費を抑えることが可能です。一方キッチンを貸し出す側からしても、使わない時間を有効活用できるという点でメリットがあります。

2.集客方法の幅が広がる

飲食店のキッチンを間借りしている場合、キッチンの貸主のお客さんにお店を認知してもらうことができます。チラシを置かせてもらったり、貸主とコラボイベントを開いたり、集客方法の可能性が広がるでしょう。もちろんSNSやWebサイトを活用した集客も大切ですが、オフラインでの集客方法が広がる点は間借り飲食店のメリットです。

3.貸主のシェフと交流が持てる

貸主の飲食店シェフと交流が持てる点もレンタルキッチンのメリットです。コミュニケーションをとるうちに新しいアイデアが生まれたり、新しいサービスを提供するきっかけになったりすることもあるでしょう。

4.いつでも場所を変更したり業態変更したりできる

キッチンを間借りして飲食店を開業すれば、実店舗の飲食店よりも柔軟に場所や業態の変更ができます。実店舗だと今の店舗を手放して移転するとなると莫大な時間とコストがかかってしまいますが、間借りであれば設備投資やテナント契約が必要ないため、またすぐに新しい立地や業態にチャレンジできるからです。例えば実際に間借りで飲食店をオープンしてみて商品とニーズにズレがあると感じれば、よりニーズのある立地に気軽に移動できます。

5.柔軟な飲食店開業が実現する

実店舗の飲食店を開業するには通常1年〜1年半の期間がかかります。戦略としてはその期間に並行してキッチン間借りで飲食店を開業しメニューの考案をしたりお客さまの反応を見たりすることも可能です。もちろんキッチンを間借りするスタイルで営業し軌道に乗ってきたら実店舗に…という戦略もよいでしょう。

飲食店のキッチン間借り(レンタルキッチン)のデメリット5つ

ここまではキッチンを間借りして飲食店を開業するメリットについて解説してきました。間借り飲食店には費用や開業準備において気軽に始められるメリットがありますが、一方営業時間や設備において制限があるため、フルタイムで本格的に飲食店を営業したい方にはデメリットがあるでしょう。

ここでは飲食店のキッチン間借りの下記5つのデメリットについて解説します。

  1. 営業時間が限られてしまう
  2. 飲食店として固定の住所を持てない
  3. キッチン設備や内装を自由に変えられない
  4. 食中毒が起きると双方に営業停止のリスクがある
  5. 契約書を結ばないとトラブルに発展する恐れがある

1.営業時間が限られてしまう

キッチンを間借りとして貸し出すのは、メインの営業以外の時間です。毎日フルタイムで稼働できるわけではないため、営業時間が限られ売上にも影響してしまうでしょう。また、キッチン間借りでの営業は使える設備が限られるため、提供できる量にも限りがあります。固定のファンがついて需要が高まったとしても時間や設備の関係でお客さまの期待に応えられなくなる事態が発生するかもしれません。

2.レンタルキッチンなので固定の住所を持てない

レンタルキッチンというスタイルの場合、飲食店としてお店だけの住所を持つことができません。ユーザーがGoogleで飲食店情報を調べる際、飲食店情報が上位表示されるために工夫するための施策を「MEO」といいますが、間借りだと住所を他の飲食店とシェアしているためMEO施策を行うのが難しくなります。また、シェアしている飲食店と郵便物がごちゃごちゃになってしまうといった問題も発生するでしょう。

3.キッチン設備や内装を自由に変えられない

キッチン間借りで営業する飲食店は、自分たちで使えるスペースが限られてしまいます。設備や内装を自由に変えられないため、お店の世界観を表現しにくい点がデメリット。料理と内装のミスマッチが起きないよう、メニューをしっかりチェックする必要があるでしょう。

4.食中毒が起きると双方に営業停止のリスクがある

万が一間借りしている飲食店で食中毒が出てしまった場合、連帯責任として貸す側の飲食店と間借りする飲食店の2店舗が営業停止になります。間借りしている飲食店が原因で食中毒が起きてしまった場合、貸す側の飲食店とトラブルになってしまう可能性もあります。リスクに備え、飲食店専用の保険に加入するといった対策をしておきましょう。

5.契約書を結ばないとトラブルに発展する恐れがある

口約束だけで飲食店を間借りしてしまうと、トラブルに発展する恐れがあります。間借りをする場合は、きちんと書面で賃貸契約書を締結しましょう。食品衛生責任者について、営業許可について、間借りの賃料、期間などを細かく決めておくことで、貸主と借主の両方が損益を受けないよう備えられます。

キッチン間借り(レンタルキッチン)相場【東京・大阪】

料金相場は地域や物件の設備などによって異なりますが、キッチンを間借りすれば、一般的な飲食店開業の10分の1程度のコストで開業ができます。

東京のキッチン間借り相場

飲食店の間借りを検討する場合、間借り物件を専門に扱うWebサイトを使うのが一般的です。東京のキッチン間借り相場は月額5〜10万円。通常、飲食店の賃貸契約には30万円ほどの費用がかかりますので、3分の1以下の費用で開業・運営ができます。

大阪のキッチン間借り相場

大阪のキッチン間借り相場は2〜5万円と東京よりもリーズナブル。傾向としては大阪府北区や中央区は賃料が高めで、枚方市や吹田市は比較的賃料が安い物件が多いです。間借りキッチンで飲食店を開業する場合、3ヶ月分の家賃と調理器具、食材費などを含め初期費用として100万円ほどは用意しておくと安心でしょう。

キッチン間借り(レンタルキッチン)を利用した飲食店開業に関する法律

最後に、キッチン間借りで飲食店を開業する際に知っておきたい法律を解説します。

開業届

キッチンを間借りして飲食店を開業する場合は、間借りする飲食店住所地の管轄の税務署に開業届を出しましょう。開業届の目的は、個人事業主として開業したことを税務署に申告することです。また、開業届を出すことで青色申告ができるようになったり、屋号で銀行口座が開設できたり、といったメリットがあります。

食品衛生責任者

食品衛生責任者は、飲食店の開業において必ず取得しなければいけない資格です。間借りする飲食店住所地の食品衛生協会による講習を受けることで取得ができます。講習料金は全国一律でおよそ1万円。講習は月に何回か開催されていますので、都合の良い日程で参加できます。

防火管理者

防火管理者の資格は飲食店営業前に提出しなければいけません。防火管理者は総務省が定める消防法に基づいて取得が定められています。必須ではありませんが、条件を満たす場合は取得が必要です。取得のための甲種または乙種の防火管理者講習修了書は2日間で取得できます。

労災保険・雇用保険

もし自分以外に従業員を雇う場合は、労災保険と雇用保険の届出も必要です。労災保険とは従業員が仕事中や通勤途中に怪我をした場合に保険給付を行う制度。雇用保険とは、失業時や休業時の給付金支給を通して従業員の福祉向上を目的とする制度です。

菓子製造許可

スイーツを製造する場合に取得が必要な、菓子製造許可。食品衛生法に基づく許可の一つで、間借りする飲食店住所地の管轄の保健所に申請します。また、間借りキッチンでスイーツを製造しその場で提供する場合は菓子製造許可と食品店営業許可の両方が必要です。

酒類販売業免許

酒類販売業免許とはその名の通り、酒類を提供するために必要な免許です。酒類販売業免許は、「酒類小売業免許」と「酒類卸売業免許」にわけられます。また、深夜12時以降に営業する場合は、深夜酒類提供飲食店営業開始届も必要です。酒類販売業免許の手続きは税務署で行われますが、深夜酒類提供飲食店営業開始届の手続きは警察署で行われますので、注意してください。

おすすめレンタルキッチンならKitchenBASE

KitchenBASEは東京と大阪に展開しているデリバリー専門飲食店のためのレンタルキッチン施設です。KitchenBASEではテナントごとに住所や郵便ポストを設置していますので、複数の飲食店で施設をシェアしても混乱が起きてしまうことがありません。施設見学も行っていますので、低リスクで手軽に飲食店を始めたい方は、ぜひお問合せください。

まとめ

飲食店の間借りは1日単位で利用できる場合もあるため、コストやリスクを抑えて開業したい方や副業として飲食サービスを始めたい方に最適です。実店舗飲食店よりも閉店のリスクを抑えて開業できるため、より飲食店開業に挑戦しやすくなります。

KitchenBASEは高田馬場や高円寺、中野など東京に8施設、大阪難波に1施設を構えるレンタルキッチンです。キッチン数は186と国内最大数で、キッチンレンタル業務だけでなく売り上げ支援など幅広いサポートを行っています。独自ノウハウを駆使してデリバリーに最適な立地を厳選し施設を展開していますので、東京と大阪で初めてデリバリー専門飲食店をオープンする方でも好調なスタートが期待できます。出店のご相談やお問い合わせは公式サイトやLINEにて承っていますので、ぜひお気軽にご連絡ください。


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