日本惣菜協会が発表した「2023年惣菜白書」によると、テイクアウト専門店を含む惣菜市場の27.1%をテイクアウト専門店が占めているそうです。ライフスタイルの変化やテクノロジーの進歩によりデリバリー専門店の需要は増加傾向にあり、デリバリー専門店の開業を考えている方も多いでしょう。本記事では、デリバリー専門店を開業したいと考えている方に向けて、キッチンレンタルスペースのメリットやデメリット、必要な営業許可について解説します。
キッチンレンタルスペースとは
キッチンレンタルスペースとはその名の通り、キッチンをレンタルできる施設のことです。調理台やガスコンロ、シンク、冷蔵庫、フライヤーなどが備え付けられており、時間単位や日単位でレンタルすることができます。
キッチンレンタルスペースは、クラウドキッチンやキッチン間借り、シェアキッチンなどと呼ばれることもあります。
キッチンレンタルスペースといっても、
- キッチン施設だけをレンタルできるタイプ
- 実店舗の飲食店のキッチンを間借りするタイプ
- キッチンとダイニングスペースをレンタルできるタイプ
などさまざまなタイプがあります。
キッチンレンタルスペースの活用法
- 料理動画を撮影する
- オフ会や交流会の会場として利用する
- 友人や同僚と集まって食事会をする
- 料理教室やお菓子教室を開催する
- 出張料理人の調理場+食事場所として
- デリバリー専門の飲食店を開業する
- キッチンカーの仕込み場所として利用する
- 料理人としてのスキルアップのトレーニング場として
キッチンレンタルスペースにはキッチン設備が整えられているため、食材さえ持ち込めば料理をしたり食事会をしたりできます。
営業許可付きのキッチンレンタルスペースはある?
キッチンレンタルスペースの中には、飲食店営業許可を取得している施設もあります。このようなキッチンレンタルスペースはデリバリーに特化した飲食店の営業を目的とした施設であるため、飲食店の営業に対応できる本格的な厨房設備を備えている点が特徴です。また、販売活動へのサポートを提供している場合もあります。
キッチンレンタルスペースの料金相場
ここでは、キッチンレンタルスペースの料金相場について解説します。1時間あたりの料金を紹介していますが、中には120分や180分など最低利用時間を定めている施設もあります。基本的には時間単位で利用ができますが、定期的に利用する場合は、登録費用と月額料金の支払いが必要です。
東京のキッチンレンタルスペースの料金相場
東京のキッチンレンタルスペースの料金相場は1時間あたり1100〜3800円ほどです。広さは20〜50㎡が一般的で、広くなればなるほど料金は高くなります。また、施設の中には利用人数によって費用が異なる場合がありますので注意しましょう。
大阪のキッチンレンタルスペースの料金相場
大阪のキッチンレンタルスペースの料金相場は1時間あたり2700〜4000円ほどです。東京よりも割高な傾向となっていますが、大阪の施設の場合は広さが30〜100㎡と東京よりもゆったりとしています。
キッチンレンタルスペースの5つのメリット
キッチンレンタルスペースには下記5つのメリットがあります。
- 初期費用を抑えてデリバリー特化の飲食店を開業できる
- 閉店のコストを抑えられる
- プロ使用の本格的なキッチン施設を利用できる
- 広々としたスペースでパーティーやイベントにも最適
- 人を呼ぶ場合も事前の掃除の必要がない
ここでは、柔軟な利用が可能なキッチンレンタルスペースのメリットを詳しくみていきましょう。
1.初期費用を抑えてデリバリー特化の飲食店を開業できる
「飲食店を開業する」と聞くと実店舗で営業するイメージが強いかもしれませんが、近年はキッチンをレンタルしてデリバリーに特化した飲食店を営業するケースが増加しています。
実店舗の飲食店をスケルトン物件から開業するには、一般的に1000万円以上の資金がかかるとされています。一方、キッチンレンタルスペースを利用してデリバリー特化の飲食店を開業すれば、物件取得費用だけでなく内装工事費や機材、調理道具などのコストをカットできるため、初期費用を大幅に抑えることができるでしょう。また、開業後も接客担当者を確保する必要がありません。
開業費用という大きなハードルを下げることができますので、資金を理由に飲食店開業を躊躇していた方でも開業を目指すことができます。
2.閉店のコストを抑えられる
開店資金だけでなく閉店コストを抑えられる点もキッチンレンタルスペースのメリットです。実店舗の飲食店を閉店する場合は、原状回復費用や保証金償却費、リース・レンタル解約費用などの諸費用がかかりますが、レンタルキッチンスペースであればこれらの費用が必要ありません。
3.プロ使用の本格的なキッチン施設を利用できる
キッチンレンタルスペースには本格的なキッチン施設を設けているところも少なくありません。デリバリー専門店を開店できるのはもちろんのこと、イベントや食事会でも普段よりもワンランク上の料理に挑戦できるでしょう。また、作業台も広々としているため複数人での調理にも最適です。
4.おしゃれなスペースでパーティーやイベントにも最適
インテリアにこだわったおしゃれなレンタルキッチンスペースを利用すれば、非日常の空間でパーティーや料理教室が楽しめます。また、パーティーや食事会を行う場合は、お皿やカトラリー類が多数揃えられているキッチンレンタルスペースを選ぶとよいでしょう。
5.事前の掃除の必要がない
一般的なレンタルキッチンスペースでは定期的に専門業者によるクリーニングを実施しています。そのため、調理をする前の掃除が必要ありません。利用開始時間と同時に調理を始めることができます。特に飲食店営業許可を取得している施設では、衛生管理が徹底されているため安心して利用できます。
キッチンレンタルスペースの3つのデメリッ
キッチンレンタルスペースのデメリットは下記3つです。
- 利用時間に制限がある
- 予約が取れない場合がある
- 飲食店を開業する場合はデリバリー費用がかか
ここでは、メリットと一緒に確認しておきたいキッチンレンタルスペースのデメリットを解説します。
1.利用時間に制限がある
キッチンレンタルスペースは時間単位や日単位での契約になりますので、利用できる時間に制限があります。突然利用時間を延長する必要に駆られても、次の予約が埋まっていれば強制的に終了せざるを得ません。また、利用できる設備も限られているため、場合によっては自分で準備する必要があります。
2.予約が取れない場合がある
予約が取りづらい場合があるという点もデメリットの一つです。人気の高いキッチンレンタルスペースや、週末・祝日などの利用者が集中しやすい時期は、数週間から数ヶ月先まで予約が埋まっていることも珍しくありません。特に毎週定期的に利用したいといった場合は一つの施設だけでなく複数の施設を比較検討する必要があるでしょう。
3.飲食店を開業する場合はデリバリー費用がかかる
デリバリー専門店を開店する場合はデリバリー代行サービスへの経費を忘れてはいけません。デリバリー代行サービスの相場は売上の35%です。デリバリーに特化した飲食店を開業する場合は、デリバリー費用を考慮して事業計画を行いましょう。
キッチンレンタルスペースで飲食店を開業するための営業許可
ここでは、キッチンレンタルスペースでデリバリーに特化した飲食店を開業する場合に必要な営業許可について解説します。
食品衛生責任者
飲食店や食品製造業などの食品を取り扱う施設には、食品衛生責任者の資格を持つ者の配置が義務付けられています。食品衛生責任者の資格は、飲食店営業許可や菓子製造業許可を申請する際にも必須です。
この資格は各自治体が開催する食品衛生責任者養成講習に参加することで取得でき、栄養士や調理師の資格を持つ場合は講習への参加が免除される場合があります。
飲食店営業許可
飲食店営業許可は、食品衛生法に基づいて定められた飲食店を営業するために必要な許可です。必要な書類を揃えて保健所に営業許可を提出すると、保健所の担当者による検査が実施されます。この検査に合格すると営業許可が交付される仕組みです。
営業許可を取得せずに飲食店を営業すると、食品衛生法違反となり、罰則が科せられる場合があるので注意しましょう。また、営業許可には有効期限があり、期限が切れる前に更新手続きを行う必要があります。
菓子製造業許可
キッチンレンタルスペースを利用して菓子類を製造し販売する場合は、菓子製造業許可が必要です。菓子製造業許可はイベントでの一時的な販売にも必要となりますので注意してください。
菓子製造業許可を取得する手順は飲食店営業許可と同じです。必要書類を保健所に提出し、保健所の担当者による検査を受けます。検査基準は都道府県や市区町村によって異なる場合がありますので、保健所の担当者によく確認するようにしましょう。
キッチンレンタルスペースの選び方
ここでは、目的に合わせたキッチンレンタルスペースを利用できるよう、選び方のポイントを確認しましょう。
目的を満たす設備や道具があるか
レンタルキッチンスペースを選ぶうえで最も重要なポイントの一つが、目的に合った設備や道具が揃っているかどうかです。特に、オーブンや冷蔵庫などの大型家電は、種類や性能によって使い勝手が大きく異なります。デリバリー専門店を開業する場合はシンクや作業台の大きさも考慮しましょう。
安全で衛生的な環境が整えられているか
デリバリー専門店の開業やキッチンカーの開業などで定期的な利用を検討している場合は、衛生的な環境が整えられているかを事前に確認するとよいでしょう。清掃頻度や消毒頻度だけでなく換気扇や排水溝など、日常清掃では行き届かない部分が定期的に清掃されているか確認してください。
デリバリーに特化した飲食店を開業するなら立地も大切
デリバリー特化の飲食店を開業する場合は、ターゲット層が住むエリアに配達しやすい場所にあるレンタルキッチンスペースを探しましょう。ターゲット層と配達効率を考慮することで、デリバリー専門店のビジネスの好調なスタートが期待できます。
東京と大阪のおすすめのキッチンレンタルスペース
KitchenBASEは東京と大阪に拠点を構えるキッチンレンタルスペースです。デリバリーに特化した飲食店としての利用を前提としており、Uber Eatsといったデリバリー代行サービスとの連携もスムーズに行えます。
デリバリー専門の飲食店を開業する際、キッチンの立地は非常に重要な要素の一つ。KitchenBASEは綿密な市場調査をもとに、デリバリー需要の多いエリアを中心に展開していますので、効率的にユーザーに料理を届けることができます。
KitchenBASEでは施設見学も承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
キッチンレンタルスペースに関するよくある質問
キッチンレンタルスペースを汚してしまった場合は?
軽微な汚れについては簡単に掃除をするだけで構いません。重大な汚れの場合は運営会社に連絡を入れましょう。また、設備や備品を破損してしまった場合は利用規約に基づき賠償金が発生する可能性があります。キッチンレンタルスペースの運営会社に詳細を報告し、個人賠償責任保険に加入している場合は保険会社に連絡し、保険の適用範囲や手続きについて確認しましょう。
宿泊できるキッチンレンタルスペースはありますか?
食事会やデリバリー専門店を目的としたキッチンレンタルスペースでは、原則宿泊はできません。しかし、キッチン施設を備えた宿泊施設であるアパートメントホテルを利用すれば、キッチンの利用だけでなく宿泊も可能になります。ただし、アパートメントホテルはあくまでも旅行客を対象とした宿泊施設ですので、飲食店を開業するためのキッチン施設は整っていません。
キッチンレンタルスペースは1人や2人でも利用できますか?
キッチンレンタルスペースは少人数でも利用できます。1〜2人で利用する場合はコンパクトかつ時間単位で利用できるキッチンレンタルスペースを選ぶと、無駄なく利用できるでしょう。
カウンターキッチンのキッチンレンタルスペースはありますか?
あります。しかし、カウンターキッチンを採用しているキッチンレンタルスペースの利用料金は、一般的なキッチンレンタルスペースよりも割高な傾向があります。
キッチンレンタルスペースで撮影をする場合は許可は必要ですか?
原則必要ありません。利用規約に撮影の可否が明記されていない場合は運営会社に事前に確認しましょう。基本的にYouTubeやインスタの料理動画の撮影を目的とした利用は許可されています。
まとめ
今回はレンタルキッチンスペースの概要やメリットとデメリットなどを解説しました。レンタルキッチンスペースを利用すれば、時間単位や月単位など、利用ニーズに合わせた契約が可能になります。
KitchenBASEは、デリバリーに特化した、効率的な調理・梱包・配送が可能なレイアウトと設備が整っているレンタルキッチンスペースです。新規出店だけでなく、事業拡大やキッチンカーの仕込みなど、さまざまな用途で利用できますので、ぜひ飲食店開業の強力なパートナーとしてご検討ください。