客数を増やして売上を伸ばすのも大切ですが、経費を抑えて売上を維持するという発想も無視できません。どちらか一方を重視するのではなく、両輪を揃えて数字と向き合うことが飲食店経営では重要となります。
この記事では、飲食店経営で欠かせない売上高の考え方や、経費(=コスト)を俯瞰するうえで必要な諸知識について解説していきます。
飲食店経営の3つの基本
ここでは「売上高」「FLコスト」「損益分岐点」の3つについて説明していきます。
売上高
どれだけ売り上げがあるのかを示すのが「売上高」です。売上高は「客数×客単価」で算出します。
売上が下がっている場合は、客数が減ったのか、客単価が下がったのかをまず見極める必要があります。それぞれのケースに応じた戦略を立てるためにも、売上高の算出と把握は不可欠です。
売上予測
売上を予測するには、下記の計算式を用います。
日別の予測客数(席数×回転数)×客単価×営業日数
席数以外はすべて変数ですが、それぞれを上手く調整しましょう。
FLコスト
「FLコスト」とは一般に、Food(食材費)と人件費(Labor)を合計した経費のことを指します。
このFLコストをいかに下げられるかが経営者の腕の見せどころ。売上に対してのFLコストが6割程度だと安定した経営状態だと言われており、フードデリバリーであれば、原価を20%〜25%程度にしてFLコスト自体は4割〜5割まで落とせれば優等生と言えるでしょう。
損益分岐
仕入れた食材の費用や確保した人件費などの諸費用と売上高が等しくなり、損益がようやくゼロになる売上高のことを「損益分岐点」と呼びます。
損益分岐点を上回れば黒地、下回れば赤字。月ごと、年ごとなどで目指すべきひとつの指標です。損益分岐は下記の計算式から導き出すことができます。
損益分岐点売上高=固定費÷{(売上高−変動費)÷売上高}
店舗の賃料などの売上の量に左右されない経費を「固定費」、食材の原価など売上に応じてへどうする経費を「変動費」と呼びます。
注意すべきは「減価償却」と「経営オーナーの人件費」です。減価償却コスト分も含めた損益分岐をはじき出す必要があり、また自分の人件費を無視した試算を出してしまうと「実際には赤字」ということにもなりかねません。
ほかにも様々なコストが左記の「固定費」「変動費」に含まれます。
飲食店経営にかかるコストは他にどのようなものがあるのでしょうか。次の章で具体的に見ていきましょう。
飲食店経営にかかるコスト
飲食店経営にかかるコストを13個に細分化してそれぞれ解説していきます。
原価
食材、ドリンクにかかる費用が「原価」です。売上に対しての比率を「原価率」と呼称することもあります。一般には原価率30%前後が安定した経営状態とされています。自分のお店に合った適正な原価率を探ることがポイントです。
原価率の計算をするうえで見落としがちなのが「可食部」の計算です。
精肉や野菜などの食材には食べられないので廃棄する部分もあるでしょう。ほんの些細な誤差ですが、塵も積もれば山となり計算が合わなくなってきてしまいますので要注意です。
人件費
社員の給料、アルバイトの給料が「人件費」に相当します。経営者がシフトに入る場合や、自分の経営者としての収入も事前に人件費として計上しておかないと身が持ちませんので注意してください。
たとえば固定で社員スタッフをいれつつ、繁忙期のみにパートスタッフの手を借りるなどのような形で適切なシフトを組みましょう。
ちなみに、ちまたでよく言われる「人件費率」は売上に対する人件費の割合のことです。
賃料
店舗の家賃・賃料のことです。
一般には全体の売上の10%が適切と言われています。裏を返せば賃料の10倍の売上を目指す必要があるということになります。
減価償却費
「減価償却」とは経年劣化を伴う高価な資産を取得したとき、その資産の取得費用を耐用年数に応じて少しづつ計上していく仕組みのことです。建物、工場、設備、備品などの有形固定資産や、ソフトウェアや商標権といった無形固定資産にも適用されます。
飲食店においてはガスレンジやフライヤーのような設備や、店舗に設置するテーブルセットやテレビも減価償却していくことになります。
通常は60ヶ月で償却するように計算します。
水道光熱費
実店舗はもちろん、フードデリバリーのみの業種であっても欠かせない項目です。ラーメン・うどん等をメインにするお店の場合は当然、水道光熱費は高くなり、業種によって上下する項目のひとつです。
水道光熱費は、工夫次第で絞れる部分です。契約会社や使用器具のオペレーションなど、改めて見直してみるのも良いかもしれません。
クレジットカード手数料
クレジットカードの手数料です。飲食店においては決済の5%が店舗負担でかかることが多いです。
修繕設立費
機器の故障、設備の不具合などがあった場合の修繕費用です。
通信費
電話、FAX、インターネットの費用です。
FAXは一見不要ですが、飲食業界は発注業務などで使われることがあります。
クリーニング代
業者による店のクリーニング 費用です。
「清潔」「安全」が意識される昨今です。最低限の必要経費として計上しておくことをおすすめします。
採用費
正社員・アルバイトを問わず、求人サイトを通した採用にはお金がかかります。
求人広告の掲載に費用が掛かる場合、掲載は無料だが採用が決まったらお金が掛かる場合など、費用の発生パターンはそれぞれですが、必要経費として確保しておかねばなりません。
備品補充費
消耗品や調理器具といった備品もしっかりと経費として算出しておきましょう。
トイレットペーパーや洗剤といったモノも備品に相当します。
販売促進費(広告費)
自社ホームページの制作費用や、グルメサイトの掲載など、販売促進に関わる経費を「販売促進費」「広告費」とするケースが多いです。
雑費
交通費や「備品補充費」に計上しなかった消耗品の費用は雑費として計算しましょう。
まとめ
飲食店の売上に関する諸知識や、経費の大まかな解説について解説してきました。
特に経費については、何にどれだけのコストがかかるかを事前に把握しておくことが重要です。売上が上がっているつもりが「実はこれもコストでした」という落とし穴に陥ってしまわないよう注意しましょう。
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