憧れの飲食店経営。固定費などのリスクは当然無視できるものではありませんが、上手く回れば売上を青天井に伸ばすことも夢ではありません。
飲食店の経営者は平均でどのくらいの収入があるのでしょうか。
細かなノウハウなどを交えながら、各ジャンルの平均年収を見てみましょう。
飲食店経営は儲かる?
まず、そもそも飲食店経営は高収入を期待できるのでしょうか。最初に理解しておかないといけないのは、すべての飲食店経営者が安定的な収入を得ているわけではないということです。
飲食店経営は簡単ではなく、災害や季節要因で集客・売上が安定しないこともしばしばで、そしてなにより大手チェーンを含む数多の競合他社と戦わねばなりません。
しかし、工夫した戦略次第では年収1000万円も不可能ではありません。実情の輪郭を把握して、経営者としての現在地点を知りましょう。
飲食店経営者の平均年収は?
国税庁の調査によると、2020年のサラリーマン(正規雇用)の平均年収は496万円とのこと。男女別に見ると男性は550万円で女性は384万円です。いずれも減少傾向にあります。
さらにdodaの調査では、同年の飲食業の平均年収は居酒屋・バーで345万円、レストランで340万円と、残念ながらサラリーマンの平均よりも大きく下回る結果が発表されています。
カフェ経営者(喫茶店経営者)
喫茶店経営者の年収は、200万円から300万円がボリュームゾーン。カフェの場合はメニューにもよりますが、個人経営であればの場合200万円から500万円ほどと言われています。
大手チェーンと厳しい競争を強いられるジャンルであり、なおかつ季節要因で客足の多寡が激しいのもカフェ・喫茶店の特徴です。
中長期戦にはなりますが、味や価格のみならず素敵な店舗づくりの演出でリピーター客を増やす必要があり、これがカフェ・喫茶店の難しさであり醍醐味でもあります。
居酒屋経営者
居酒屋は規模感や店舗数によって年収は大きく上下するため一概には言えませんが、「独立して小さな居酒屋を経営する」というイメージであれば経営者の年収は400万円から500万円が相場です。
1000万円以上を目指すのであれば、複数の居酒屋経営または複数ジャンルの飲食店経営を前提として戦略を立てましょう。
小規模であっても利益率が高いため採算が立ちやすく、リピート客も付きやすい業態なのが居酒屋の特徴。まずは1店舗開業して、運転資金と見合わせながら2店舗目、3店舗目を追求すれば1000万円に手が届くことでしょう。
パン屋経営者
パン屋さんを経営する際の平均年収は350万円が目安です。パン屋をやりながら収入面でも高い意識を持つのであれば、まずはこの350万を目標にするのがよいでしょう。
パン屋をやっていくうえで重要なのはオーブンやホイロといった設備投資です。加えて冷蔵庫やミキサーなどの基本的な設備も欠かせません。
中古品、新古品などを狙って設備を整えたり、あるいは居抜き物件を探すなどをして初期投資コストを押さえることをおすすめします。
ラーメン屋経営者
成功している複数店舗のラーメン屋経営者の年収は800万~1,000万円以上と言われています。
キッチンも比較的ミニマムに運営することができるるので、設備投資や家賃は他のジャンルに比べると低い見積もりになります。
好立地の店舗で回転率をあげる、または回転率と引き換えにフードメニューを充実させて客単価をあげるなどのさまざまな戦略がありますが、上手くいけば人気店に登りつめ、1店舗のみの経営で年収1000万円を超える事例もあります。
定食屋経営者
定食屋経営の年収は200万円から300万円が一般的とされています。
設備も簡単なもので始められるうえ、スタッフの数も多くを要さないため、手軽に始められるのもメリットの一つ。一方でメニュー数と食品の品目数が多いため、食品のロスが出てしまいやすいのが懸念点。飲食店の中でも特に計画的な店舗経営を心がけないといけません。
年収1000万以上の飲食店経営者の割合
年収1000万以上の人は飲食店経営者の中で8.0%という統計があります。一方で令和2年の一般的なサラリーマンの中で年収1000万円超1500万円以下の人は3.4%です。
統計上で言えば、年収1000万円を目指す場合は、一般的なサラリーマンよりも飲食店経営者の方がその可能性ははるかに高いと言えるでしょう。
ちなみに、サラリーマンの年収1000万円から1500万円の人の3.4%の男女の内訳は男性が5.2%に対して女性はわずか0.7%)ですが、経営は実力の世界なので、当然こうした男女差の影響も小さいと考えてよいでしょう。
参考:Foodist
年収1000万以上の飲食店経営者を目指すためには
飲食店経営者として年収1,000万円を達成するにはどうすればよいのでしょうか。この業界でよく取り沙汰されているような実践しやすい具体的な戦略をいくつかご紹介いたします。
複数店舗の経営
1000万円以上を目指すのであれば、複数の店舗を持つこと、少なくとも2店舗は回したいところです。もちろん店舗を構えるには家賃や人件費などの固定費が付きもの。経営をはじめると同時に2店舗を持つ必要はありません。2店舗以上の複数経営を視野に入れた戦略が年収1000万円への近道です。
自分がシフトに入る
地道な手法ですが、すぐに実践できて大きな効果を望めるやり方です。
飲食店の人件費は売上全体の3割が理想とされています。ここを削れば経営者の収入は当然アップするわけですが、無理に削るとパフォーマンスが下がり味や接客の品質が落ちたり、あるいは離職されてしまい採用に新たなコストがかかってしまいます。
そこで私たちが提案するのは「経営者自身もシフトに入る」というソリューション。社員1名分の人件費がそのまま収入に流れ、さらに現場を知ることで接客品質の向上やオペレーションの改善に取り組みやすくなるという副次的効果も。
経営をスタートしたての頃は特にオススメの施策です。
客数を増やす
売上増加のための重要な取り組みです。ネットやチラシなど様々な媒体を横断して集客に注力し、席数も意識しましょう。これから開店したい場合は、見込みたい年収から逆算して席数にあたりを付けると安定した収入に繋がるでしょう。
客単価を増やす
こちらも売上増加のための取り組みです。具体的にはメニューの改善やオペレーションの改善です。メニューの価格設定を上げてみたり、または反対に下げることによって他のメニューの注文を暗に促したりすると自ずと客単価は上昇します。
さらに、接客応対の際にスタッフがやるべきことを細分化し「空きのドリンクを放置しない」「距離感を縮められたら新しいメニューをオススメする」など定量的に設定することも中長期的な客単価アップに繋がります。
FL率を意識して改善する
「FL率」とは、飲食店の売上高に占める食材費(Food)と人件費(Labor)の比率のこと。この比率が低い店舗が、優秀な店舗ということになります。一般的には60%が目安とされており、50%前後まで落とすことができれば成功と言っても良いでしょう。
居酒屋なのかカフェなのか、といった諸条件によって食材費の比率や人件費の比率は変わりますが、この「FL率」を意識してその都度経営を改善するよう心がけましょう。
人通りが多い立地を選ぶ
立地も来客数を増加させるための重要な議題です。都会か地方か判断基準は少々違いますが、極端な話をすると「立地だけで勝った」と言っても過言ではないような店舗も中には存在します。
店舗を持つエリア、駅からの距離やクルマでの利便性など様々な要素を加味して店の場所を決定しましょう。
メニューや接客は途中からでも改善できますが、不動産は仮に賃貸であっても「やっぱり変える」という自由が利きづらいので、理想と現実を天秤にかけて慎重に場所を選ぶことが求められます。
顧客情報を分析してPDCAを回し続ける
PDCAとは、Plan(計画), Do(実行), Check(評価), Action(改善) の頭文字をとったもの。効率よく経営を成長させるためのスキームのことです。
飲食店においては顧客情報を分析して「どのような人が、どのようなサービスを欲しているのか」など様々な指標で経営を安定化させましょう。
テイクアウト,デリバリーを利用する
「経営店舗数を増やす」「客数を増やす」といった売上増加策に類似した戦略として挙げられるのが「テイクアウトやデリバリー」で売上を伸ばす方法です。
店舗の席数とは関係なくある意味で無制限に商品を提供できる仕組みなので、
注意するべきなのは「テイクアウトやデリバリー」に特化したメニューやオペレーションを用意しておくことです。Uber Eats などのフードデリバリーを利用するとしても独自の運営方針が求められます。
中途半端に導入してミスをすると、せっかく頼んでくれたお客さんの信用をかえって失うことになりかねません。
副業的にテイクアウトやデリバリーでの提供をスタートする場合であっても、しっかりと最低限の品質を届けられるよう取り組みましょう。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございました。
「飲食店経営者として年収1000万を目指すには?」という切り口で様々な角度から解説してきました。
コストを最低限まで落として、売上は伸ばせるよう目指す。
これが飲食店を伸ばすための鉄則であり、同時に経営者の収入を増やすための要です。複数店舗を一気に展開したいという場合は、デリバリー店舗を出していくことも一つの手としてありかと思います。デリバリーで売上を伸ばすという角度からであればぜひクラウドキッチンサービスの「KitchenBASE」もご検討ください!
初期費用やリスクを抑えてデリバリー事業にチャレンジすることができます!