ザ・レストラン・タイムズ
目次
レストランの利益を上げるためのメニュー価格戦略
- レストランタイプに合わせたメニューの価格設定を行う
- エキゾチックな料理には高い値段をつける
- 特別な食材を使った料理をアレンジする
- 相対的な価格設定をする
- 適切な量に対して適切な価格を決める
- 各セクションにシェフ・スペシャルを用意する
- 商品価格の横に通貨表示をしない
- メニュー説明の最後に価格を記載する
- 優待価格を用いる
- 原価プラス上乗せ価格を実施する
- キャンペーンを行う
- メニュー・エンジニアリングを利用して価格変動を調整する
- 価格デザインの心理学を活用する
お客様にもっとお金を使ってもらうためには、レストランメニューにどのような価格戦略を施せば良いのでしょうか?ほとんどのレストラン経営者は、メニューを考える際にこのようなジレンマに陥りがちです。もちろん、これは難しいタスクであり、レストラン経営者の中には、ビジネスに悪影響を及ぼす可能性のあるメニュー価格設定をしてしまうことも多くあります。ここでは、あまり知られていないレストランのメニュー価格戦略をご紹介します。ぜひ、採用して利益を急増させましょう!
レストランの利益を上げるメニュー価格戦略
以前、レストランのメニューをどのように企画し、そしてデザインするかについて説明しましたが、次のステップとして、ここではメニューの価格戦略について説明します。早速、レストランのメニュー価格を決定するための「トップ13の公式と戦略」をまとめました。
1. レストランのタイプに合わせてメニューに値段をつける
レストランメニューの価格戦略で最も重要なことの一つに「レストランメニューの価格を決める前に、レストランの形態を念頭に置いておく」ことが挙げられます。価格には原材料費、人件費、内装費、定期的なメンテナンス費用などが含まれますが、理想的にはメニューの価格が食材費、諸経費、人件費、予想利益の合計でなければなりません。
そのためには、メニュー価格と料理原価の差額である粗利率(Gross Margin Value: GMV)を計算する必要があります。GMVの計算式は以下の通りです。
GMV=(総売上高-売上原価)/売上高
GMVは60~65%程度が理想的で、経営するレストランのタイプによって異なります。高級レストランは、カジュアル・ダイニング・レストランに比べて諸経費が高いです。クイック・サービス・レストラン(
QSR)は顧客サービスやインフラをあまり提供しないため、GMVは高級レストランよりも相対的に低く設定されます。タイプ別で見るレストランのGMVは以下の通りです:
高級レストラン: 75%
カジュアル・ダイニング:55%
クイック・サービス・レストラン:45%
もちろん、一つの戦略だけで料理の価格を決めることはできませんが、レストランメニューの価格戦略は、すべてこの数字を目標にする必要があります。
2. エキゾチックな料理には高い値段をつける
レストランメニューの価格戦略を決定する上で、提供する料理の種類は重要な役割を果たします。もし、あなたのレストランがグルメな日本料理を提供するのであれば、原材料のコストにもかかわらず、それぞれの料理にプレミアム価格を付けることができるでしょう。プレミアム価格を設定することで、顧客は高級レストランで食事をしているような気分になり、リッチなグルメ料理を味わうことができます。他の郷土料理やファストフードと同じような経済的な価格設定では、料理の繊細さが損なわれてしまうかもしれません。だからこそ、エキゾチックな料理には多少高めの料金を設定し、高い利益を得ることを躊躇してはいけないのです。
3.特別な食材を使って料理をアレンジする
レストランのメニューを最適化する最良の方法は、同じ料理でもさまざまなバリエーションを使ってみることです。味と風味の豊かさを高めるためにも、1つ、もしくは2つの食材を除き、低価格の基本的な食材を使った料理を加えてみて下さい。エキゾチックなハーブやスパイスを散りばめて、既存の料理にフュージョン風味のひねりを加えてもいいでしょう。このようなレストランメニューの価格戦略では、最終的な原価を下げつつも、プレミアム利益を獲得できる食材の組み合わせを活用することが重要です。
4.相対価格を使う
相対的なレストランメニューの価格戦略を使って、お客様にもっとたくさん買ってもらいましょう。高価なメニューの隣に高収益のメニューを置くと、お客様は安くて高収益のメニューを注文する可能性が高くなります。例えば、50ルピーで売られている塩味フライドポテトの原価はわずかですが、それでも高い利益率で売られています。一方、チリチーズのフライドポテトは90ルピーと表示されていますが、同じマージンは含まれていません。したがって、プレーンフライドポテトをチリーチーズフライドポテトの隣に置くことで、客は衝動的に普通のフライドポテトを注文し、結果的により多くの利益を得ることができます。
5.適切な量に対して適切な価格を決める
適切な価格設定には常に苦労が伴うものです。もっとも、多くのレストランでは、料理の値段を高くし過ぎたり、安くし過ぎたりしていることがあり、その結果として、高過ぎると客足が遠のき、安過ぎると利益率が低下してしまうという現象が生じます。このように、レストラン経営者はメニューに値段をつける際、ポーションサイズも考慮する必要があります。
以下で避けなければならないメニュー価格設定の失敗例をご紹介します:
- 量を多くして値段を高くする-量が多いのに値段を高くするのは、うまくいかないかもしれません。これは特に新規客が正確な量を知らないためです。
- 量を少くして料金を安くする-量が少ないのに料金を安くする-多くのレストランでは、顧客獲得で勝ち残るために量を少なくして料金を安くすることがあります。お客様にもっと注文してもらおうとする意図がありますが、量が少ないと逆にためらってしまいます。
- 量が少ないのに料金を高くする-多くのレストランは量が少ないのに料金を高くする傾向があります。このような価格戦略は、支払った金額に比べて得られる料理が少ないため、客をがっかりさせてしまいます。結局、お客様はあなたのレストランに戻ってこなくなるかもしれません。
ここでは、価格と量のバランスをとりながら、上記の3つの失敗を避けるコツを1つご紹介します。それは「量だけで値段を決めないこと」です。きちんとした量の料理を提供し、お客様が混乱するのを避けるために、各商品の価格と一緒に提供数を記載しましょう。同時に、料理のプロセスやどのようにお客様に提供するかなど、その他の重要な要素も伝えるようにすると良いです。
6.各セクションでシェフ・スペシャルを用意する
メニューの各セクションに、”シェフ・スペシャル”を用意します。お客は注文するとき、いつも何か特別なものを探しているものです。特別メニューやシェフのお気に入りのメニューは、必ずお客の心を捉えます。ここで3つの簡単なステップを紹介します!
- 極上の食材を加えて、最も高収益な料理に生まれ変わらせる。
- 「シェフ・スペシャル」と名付ける。
- 各カテゴリーの一番上かハイライトボックス内にシェフ・スペシャルを配置する。
このようにして、各カテゴリーにシェフ・スペシャルを設け、レストラン・メニューで宣伝し、プレミアム価格を付けます。たとえ同じメニューだとしても、「シェフ・スペシャル」と名付けることで、以前より利益を上げることができます。
7. 商品価格の横に通貨記号(¥)を付けない
最も基本的でありながら、最も無視されているレストランのメニュー価格戦略に「価格の横に円記号(¥)を付けないことが挙げられます。値段の横に円記号を付けると、お客様はそのメニューに「¥」「円」と書かれているのを見て、自分がいくら使っているのか意識してしまいます。ここでお客様は少し躊躇してしまい、がっかりしてしまうかもしれません。円記号は、予算に敏感な顧客の心に「支出」を意識させてしまいます-私たちが価格について躊躇することなく食べ物を注文するよう促すためにも余計な表示を省くようにしましょう。外貨を使うお客様が来る場合を除き、通貨記号を表示しないことをお勧めします。このテクニックの背後には、このような心理構造があります。ぜひ、こちらをお読みください。
8.メニューの説明の最後に価格を表示する
料理説明は全メニューに欠かせなません。食欲をそそる説明文を添え、料理に使われている食材を明記することで、その料理のおいしさを説明し、お客様の食欲をそそりましょう。そして、料理の説明文の最後に価格が表示されていれば、読み終わるまでにその料理を食べたくなるものです。特定の料理に食欲をそそられたお客様は、その料理を食べたくなるはずであり、説明文を読みながら、価格を上回る料理への期待感と体験について考える可能性が高いです。
9. 優待価格を利用する
総合的に料理の売上を増やしたいのであれば、特定の料理に割引価格を提示するのも効果的です。例えば、ハンバーガーを注文するお客様に、、130ルビーのコンボパックとして3つの料理をまとめて提供すれば、お客様にとっても費用対効果の高いディールと言えます。コンプリメンタリー・アイテム(優待パック)に少額のディスカウントをつければ、売上は伸びるはずです。
10.原価プラス上乗せ価格を実施する
「コスト・プラス・マークアップ・プライシング」は、料理の原価に上乗せするマークアップを含むものです。マークアップは、諸経費、間接費、直接費(人件費や食材費など)などで、純利益が残るという考え方です。低利益率で有名なこういった業界で利益を上げて成功したいのであれば、メニューの各項目について食材費の割合を計算することから始めるようにしましょう。そのためには、POSシステムを活用した詳細な売上レポートを分析する必要があります。
11.キャンペーンを行う
最も高価なメニューはレストランにとっても重要な要素となります。しかし、たとえそれが最も知名度の高いメニューであっても、実際にオーダーしてもらうのは難しいこともあります。そのため、ビジネス的な理由で最も高いメニューを継続するなら、お客様が価値を見出せるような体験を提供し、ユニークな工夫を施すことが大切です。例えば、レストランが所有する近所のクラブ・バスやバーのメニュー割引など、魅力的なインセンティブを与えてみましょう。そうすれば、メニューの変動を目立たせずに最終的なコストをより下げることができます。
12.メニュー・エンジニアリングを利用して価格変動を調する
レストラン経営ハンドブックには、価格を変更すべきではないとは記載されていません。しかし、メニューの価格を頻繁に変更すれば、お客様は他のレストランを選ぶようになる可能性があります。
メニューを見るたびに、お客様が驚くことのないように、食材のバランスを考えるメニュー・エンジニアリングを実施しましょう。
高価な前菜、サイドメニュー、デザートと安価なメインディッシュを組み合わせてみましょう。そうすれば、他の食材で全体的なコストをリーズナブルに抑えられるため、プライム食材のコストが上がっても大赤字になることはありません。
13.価格デザインの心理学を活用する
メニューの価格設定レイアウトをデザインする際、レストランの価格設定方法を最大限に活用しますが、やはり売上を伸ばすためには、様々な心理学的トリックを採用すべきです。メニューの価格設定に使えるテクニックとしては、高価な料理を数品追加する、各メニューを戦略的な位置に配置する、商品の説明の後に直接メニュー価格を記載する、お客様に覚えてもらえるように伝統的な料理名をつけたりする、といったことが挙げられます。
さて、ご紹介してきたヒントは、実際に役に立ちましたか?あなたのレストランで、これらのレストランメニューの価格戦略を実践して、ビジネスにどのように役立つかをお聞かせください!コメントは以下からどうぞ。